国家・君主の資料
国家の名称
王国、帝国、公国、共和国、連合王国、連邦、皇国。物語に国家を出す場合、まずはこうした国家の名称を決めなければならない。
これらの違いと定義を明確に理解して執筆出来ているだろうか?
ここでは王国や帝国などの違いについてまとめた。
国家とは?
まず国家とはなんだろうか。国家は次の3つから構成される
①領域
②人民
③権力
国土があり、人民があり、それを統べる権力が揃って国家と言える。
領土を持たない人民や権力の集合は国家とは呼べず、あくまで民族や集団でしかない。
数年前、イスラム国はこれら領土、人民、権力の3要素を手に入れて独立を宣言したが、領域内の人民全てが統治機構の下に入ってはおらず、不完全な状態だった。そのため国家とは認めない、という主張が一般的なものとなった。
領域、人民、権力の3つの総称が国家であり、どれか一つでも不完全な場合は国家と断定する事が難しいと言える。
ただし、この定義については国際法学者でも意見が分かれており、創作世界において戦闘集団や遊牧民など特殊な民族を「国」と定義しても問題はないと思われる。
君主とは?
王国や帝国の違いに入る前に、まずは君主について明確にする必要がある。君主とは世襲により国家を治める最高の位を持つ者である。
君主とは一般的に親から子へ権力が継承されるものであり、選挙で選ばれる現代の国家元首を君主と呼ぶ事はない。
王、帝王、皇帝、大公は一般的に世襲で継承されるものであり、君主と呼ぶ事ができる。
ただし、歴史的に見て神聖ローマ帝国のように選挙によって君主が選ばれる場合もあり、例外的な事例も多数ある。
一般的には世襲を基本とするが、その定義は曖昧であり、創作世界においては自由に使える表現と言える。
王国とは?
いよいよ本題の王国の定義について触れていく。王国とは、君主による統治を行う国家で、君主の称号が「王」と呼ばれる国家の事である。
では君主の称号の一つである王とは何か。
実はこの「王」という称号は特に定義がない。君主でなくても部落のリーダーを「王」と呼ぶこともあるし、その種族のリーダーを「王」と呼ぶ事もある(エルフの王、ドワーフの王など)
つまり、特別な理由がない限り、世襲制の君主がいる国家は王国と呼ばれる事になる。
王冠を被った偉い人がいて、その地位を巡って子供たちが争っているような国は王国と定義して問題ないだろう。
エルフやドワーフ、ゴブリンの国など、現実に実例がなく扱いが難しい国も「王国」と表現しておけば無難である。
王国とは創作においてとても便利な名称なのだ。
帝国とは?
君主による統治を行う国家で、君主の称号が「皇帝」と呼ばれる国家の事である。あるいは広大な地域や、複数の民族を支配する国家を指す。つまり複数の国や民族を攻め込んで支配した侵略国家を意味する事が多い。
国家内で異なる言語が使われていたり、異なる文化が共生する事になる。
ファンタジー世界におけるゴブリン族やオーク族など複数の種族を支配している魔王も皇帝の一つであり、魔界は帝国と表現できる。
その定義から領土拡大の意志を持つ戦闘的な国家として表現され、制圧地域から人や物を接収する事から奴隷制度を持っている場合も多い。
王国ではなく敢えて帝国をシナリオに出した場合、格差問題、民族問題、多数の文化の軋轢、言語の不統一、宗教観の衝突など様々な内政問題が出てくるのが自然だろう。
公国
君主による統治を行う国家で、君主が貴族である国家の事である。国家というよりは領地という認識が正しいかも知れない。
公国は歴史的に見て中世あたりで消えていき、ファンタジーでよく使われる近世で登場させる意味はあまりないと思われる。
要約すると弱小国家であり、戦争と無関係な穏やかな小国などに使うと良いだろう。
共和国
世襲制の君主がいない国家の事である。共和というのは公共的という意味であり、国が私物化されていないという事を意味する。
主権が国民にあり、選挙によって国家元首を決める。その多くは任期制で世襲はされない。
ただし、国民の理解があれば君主がいても良いということでもあり、君主が存在した共和国も存在する。
通常は近代的な国家を指す。
連合王国
複数の国家が連合を組んだもの。このうち、連合を組んでいる内訳の国家が全て王国とは限らない。
現代ではイギリスがこれに相当する。
定義が非常に難しく、曖昧な部分が多い。
創作で使用するならば、好き勝手に定義しても問題ないと思われる。
連邦
複数の国家や都市が1つの主権として集まること。内部的には別の国であるが、外交的には一つの国として交渉に当たる。
小国が周辺の大国に対抗するためのものであり、政治的緊張がある地域で形成されやすい。
皇国
天皇が治める国。日本の事であり、一般的には大日本帝国を意味する。
日本をモチーフにした架空戦記などで使いやすい。
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